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車じゃなきゃ、来られないかもしれないけどホーエンノイフェン城

シュタイフからウルムへとシュツットガルトへ帰る道の途中、ドイツ人友人のベンツCクラス ディーゼルは快調に一般道を制限速度の時速80キロで飛ばしてノイフェンという町に入って来ました。どこまでも続く畑の中の道を走ると、まるで島のように町が現れるという日本には見られない現れ方をする、絵に描いたようなヨーロッパの田舎町のひとつがノイフェンでしょう。

 

この町の近くにある丘の上にホーエンノイフェン城という、おそらく城跡があります。の解説によると、この城は18世紀にだいぶ破壊が進み、その後遺跡として保存されるようになったらしいです。

Hohenneuffen城 (Wikipedia)

 

ノイフェンまでは鉄道で来られるようですが、その先徒歩ではかなり距離がありそうです。今回は友人の車で難なく来られましたが、単独では来られなかったかもしれません。ノイフェンの町から城に入る道を車で進むと、森の中に“駐車できる広場”があり、そこにもう何台も車が駐車していました。なんでも有料イメージの強いドイツですが、ここは無料みたいです。

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付近の地図がありました。日本の国立公園にあるようなスタイルです。

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しかし地図は日本で言うところの“国土地理院の五万分の一地図”みたいな等高線も書いてある本格的なのが表示されています。記載内容も細かくて、必要なものは何でも載っている感じでした。こういうのがドイツスタイルだと私は思います。

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駐車場から城までは森の中のよく整備された歩道を歩いて行くことができます。歩道ではあるのですが、業務用の車は走っていますので、ときどきマイクロバスやトラックが来ます。

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やがて石畳の道になり、城に到着します。

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トンネルをくぐると山羊がいました。多分城で飼われている山羊でしょう。人に慣れているのかいないのか、人が近寄っても山羊は興味も示しませんでした。

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城壁を見ると、ここに城跡以外に何もないように見えますが、この上に外観は城に溶け込んでいるようにレストランの建物があります。

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城の上からの眺めはドイツらしい景色が遠くまで見渡せます。下にはさきほど通ってきたノイフェンの町?もしかしたらエアケンブレヒトシュヴァイラーの町かもしれませんが下界が見え、空中にはパラグライダーやモーターグライダーが飛んでいるのが見えます。遠くには小さい富士山みたいな姿の古代の火山も見えました。

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この一見廃墟のようなホーエンノイフェン城は、実は立派に商用に活用されていて、一番上の部分に売店が有ってビールも飲める他に、予約が要るような立派なレストランもあります。この日は結婚式の二次会がここであるらしく、参加者が正装して集まり、イベント会社のスタッフも音響機材を忙しく運び入れていました。

 

レストランなどは丘の外からは見えないような場所に収まっていて、外から見るとまるで廃墟のようですが、実は中は商用の施設が備わった現役のエンターテイメント会場になっている。こういう既存の、しかも歴史的遺産を放置しないで活用するところにドイツの特徴が見えました。

 

日本で言えば、例えば竹田城跡に新しい建物をなるべく建てずに和食料亭を開設して営業する、みたいな感じです。それは日本で可能かどうか分かりませんが、ドイツでは他にも歴史的保存建造物が商用活用されているのを見ました。その儲けで保全もできそうだから、グッドアイデアだろうと思います。

ホーエンノイフェン城のサイト
↓↓↓
http://www.hohenneuffen.de/cms/

世界一背の高い教会と、妙なビール飲み屋台あるウルム

シュタイフミュージアムの帰り道に、ウルムという街に立ち寄りました。

ここは大きな街で、ダイムラーベンツ社の研究所があり、ドイツ人友人の話によると街の人の多くがベンツの社員か関係者だそうです。

 

市の駐車場を出ると古風な立派な建物に出くわしましたが、これは今も実用に使われている市庁舎の建物なのだそうです。入ってみたかったけど時間が無いので先へ進むことにしました。この日の目当てはウルム大聖堂です。

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ウルムはアインシュタイン生誕の地なのだそうです。そう言えばウルムは科学技術に造形が深いところなのかも知れません。

 

事実、ウルム大聖堂は教会としては今でも世界一の高さ、ニューヨークにエンパイアーステートビルが完成する前まではエッフェル塔など塔と呼ばれるものを除き、全世界で一番高い建物だったそうです。大聖堂は全部石組みですから、いくら地震の無いドイツであってもこんなに高く積み上げるのには補強構造も力学的に整合していなければなりません。14世紀に着工し19世紀末までかかって作り上げたのだから、スペイン バルセロナのサグラダファミリア建設のように、きっと技術を次の世代の技術者に伝えながら初心貫徹して作り上げたのでしょう。

 

ドイツの多くの教会が第二次大戦の爆撃で大破する中、幸いにもウルム大聖堂は被害が無かったので、今でもオリジナルの姿を保っているのも見応えがあります。

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「教会の中へ入るだけなら入場料いらない」と入場券売り場の人が言うので、じゃなんで入場券があるのか?と思ったら、あの世界一の教会のてっぺんに上るのあれば入場料が要るらしいのです。聞けば800段近くある階段を、しかも延々と続く螺旋階段をぐるぐる登る以外に手は無いし、帰りもやっぱり螺旋階段になるというので、即刻登るのはやめました。

その代わりに教会の礼拝堂に入ってみましたら、19世紀にタイムスリップしたような、映画の中に入り込んでしまったかのような雰囲気。音をたてると「ボワーン」いう響き、冷んやりした空気、かすかに香るローソクの火の煤の匂い。

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この日は土曜日で礼拝は行われていませんでしたので、しばし席に座って「礼拝を受けるときはきっとこんななんだぁ」と空想することができました。なんとなくどこかで祈りの声が聞こえると思ったら、ちょうど奥では結婚式を挙げているところで、その誓いの声が聞こえた?のでしょう。

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教会の前は広場になっていて、土曜日だからなのでしょう、かなりの人が集まっていました。その中に「チームバイクウルム」という名のビール屋台のようなものがありました。

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このチームバイクとは、屋台の車輪をカウンター椅子の下にあるペダルを客が漕いで、みんなで力を合わせて前進しながらビールを飲むというものだそうです。

残念ながらいくら待ってもチームバイクの屋台は発車しなかったので、移動中の動画を写すことはできませんでした。

 

なお、チームバイクウルムに参加するにはネットから8人以上16人まででエントリーする必要があるみたいです。

 
http://www.bierbike-ulm.de/