カテゴリー別アーカイブ: シュツットガルト周辺

ヨーロッパで一番を見てきた!と言えるルートヴィヒスブルク

「今日はどこへ行って来た?」とドイツ人の友人に尋ねられて、ルートヴィヒスブルクとなかなか喋れなくて苦労しました。エスリンゲンは発音し易いけど、ルートヴィヒスブルクは舌を噛みそうになります。

このルートヴィヒスブルクもまた、シュツットガルト駅前で薦められた「行くべきところ」の一か所。ここにはヨーロッパ最大というバロック建築の宮殿があるので日本に帰った後に「ルートヴィヒスブルクに何があるの?」と聞かれたとき、実に説明し易い。“喋り難い地名と説明し易い名所のある街”が、シュツットガルトから「あっ!」と言う間に電車で行けるところにあります。

ルートヴィヒスブルク駅はシュツットガルトからSバーンで15分ぐらいのところにあります。東京駅から品川駅みたいな距離ですが、ここはもうシュツットガルトではありません。

lw01

 

駅前にはネスレの古風な工場があります。このネスレ工場がある側とは反対側に「行くべきところ」があります。

lw02

 

駅の出口はこんなにシンプルな表示で「ここがSバーンに乗るところ」だと一発で分かります。

lw03

 

駅前の道を渡ると古い感じの建物が連なる街道になっていて、レストランやカフェが並んでいましたので、ここでアイスカフェを飲みました。ちなみにドイツのアイスカフェのアイスは氷じゃなくてアイスクリームです。とても甘くて参りました。

lw04

 

この像はフリードリヒ・シラーというドイツの思想家で詩人でもあり劇作家でもあった人です。太宰治の「走れメロス」の元になったひとつがシラーの詩だそう。さらに彼の作品が当時のルートヴィヒスブルク領主の怒りに触れて亡命生活を余儀なくされたらしい。日本でも千利休が豊臣秀吉の怒りに触れて切腹しましたが、文化人とは言え権力者の目にとまると、場所は変われどいい時はいいけど、悪いときは悪いもんです。

lw05

 

この街にも古い建物は珍しくないほどたくさんあります。

lw06

 

みんな石作りの窓枠が白い、煙突がある似たようなフォーマットの建物ですが、ちょっとづつ違って個性的です。反対に日本にはたくさんあるナントカホームの新築住宅みたいな建物は絶無と言っていいぐらい。

lw07

 

この建物は築何年経っているのか分かりませんが、朽ちるわけでもなく今も現役で使われていました。一説によるとドイツでは建築規制が厳しくて建て替えが難しいらしいです。

lw08

 

マクドナルドの建物も、リニューアルされてはいるものの、風景にマッチするような色彩と形になっていました。

lw09

 

ここはルートヴィヒスブルクのマルクトプラッツという、要するに市場のための広場。純粋広場になっています。

lw10

 

クリスマスシーズンはここに出店がいっぱい出るらしいので、寒いのが辛くない人はクリスマスシーズンのドイツがいいかもしれません。

これがヨーロッパ最大だというバロック建築の宮殿、ルートヴィヒスブルク城です。ルートヴィヒスブルク観光ではここを外すことは考えられないでしょう。それほど有名なので、日本に帰ってからの旅行話にふさわしい場所ですから、入場料は高いけど無理してでも入園してみることがいいと思います。

lw11

 

建物に入るには、さらに入園料が要るので、私どもは庭園から宮殿を眺めることにしました。

lw12

 

宮殿の前にはベンチがあり、年配のドイツ人女性が一人座っていました。妻が英語で話しかけると彼女はドイツ語以外は話さないようでしたが、ドイツ語で多分たくさんこの宮殿のことを語ってくれました。でも私どもには分かりませんが、何だか分かったような気がするから不思議です。

lw13

 

入場料が高いのは、こんなに庭がよく手入れされているからです。

lw14

 

宮殿から出るとまっすぐに南へ伸びる遊歩道があるので、それを歩いて行くと煉瓦作りの、でもモダンなホテルの建物が目入りました。レストランも併設されていて四つ星マークもありましたから、最後の贅沢と思ってランチをここでとることに。

lw15

 

庭園の屋外テーブル席に座り、バイキングでランチをすることにしました。

lw16

 

バイキングにした理由は、一品はきっと高くて量も多いだろうから・・・、という理由でしたが、実際はどうもバイキングの方が高かったみたいです。日本ではまずランチにこんな高額は出さないだろう!と思えるような額に、さらにチップを載せて、かっこつけて食事を終えました。

 

ちなみに味は、まあまあです。後でドイツ人の友人に話したら「ドイツのレストランでは金額と味は比例しない」と言われました。

 

ランチが終わり、駅まで歩く途中の建物に落書きがしてあるのが目に入りました。

ドイツの落書きは日本の比ではありません。鉄道の沿線の橋や壁、それにこんなふうに道路際の建物にいっぱい落書きがあり、書かれても警察を呼んだりあ、慌てて消さないみたいです。そんな中でこの写真の落書きは、眺めていて苦しゅうない落書きに見えました。

lw17

 

落書きの大きさと書く位置にフォームがあるかのように均一に描かれていて、建物との親和性も良く見えます。建物を飾る意識が有ったとは思えませんが、出鱈目で統一感の無い落書きと比べると、かなりマシな、鑑賞に値するかも?と思われる作品かと。

エスリンゲン、シュツットガルトすぐの、濃縮された街

ドイツのシュツットガルトは日本では観光地としてあまり知られていない印象ですが、その隣町のエスリンゲンはさらに「知る人ぞ知る」という穴場間違いなしの場所だと思います。

シュツットガルト中央駅の前にある観光案内所で「ここから手軽に行ける歴史的な雰囲気でお薦めの場所は?」と尋ねたら、最初にエスリンゲンを言われました。シュツットガルト駅から日本で言うところの通勤電車に相当するSバーンで15分ぐらい。シュツットガルトのすぐ隣なのに、シュツットガルトを離れた世界に来た気がします。日本で例えるなら大阪市と堺市みたいな違いです。

シュツットガルト中央駅からエスリンゲンに行くにはSバーンのS1号線を使うといいと思います。DBのローカル線でも同じ駅に着けますが、Sバーンの乗車券はUバーンと共通切符になっているから、シュツットガルト市内からゾーン内フリー切符で行けて安いです。

es01

 

駅に着いたら北の出口です。

エスリンゲン駅前は工事中で、その風景は何だか東京の京王線調布駅前そっくりです。

es02

 

北東方向に行く感じで、北に進み、広い通りに出たら右に曲がって道なりに進んで行くと、目指すドイツの歴史的雰囲気が味わえる地域に入ってきます。

es03

 

やがて運河に出ますが、その運河手前に嫌でも目につく綱渡り名人の塔があります。この塔はエスリンゲンの代表的オブジェクトなので、必ず写真を撮りたくなるでしょう。

es04

 

この綱渡り名人が見えた辺りから、街並みは急に19世紀っぽく変身し、運河にかかる古式な石橋から「こんなところでランチしたい」と思わずにはいられないようなレストランも見えています。まるでドイツ版の京都先斗町の風情です。

es05

 

ここからさらに先に進むと、マルクトプラッツという名の広場があります。この広場はがらーんとした、まさに純粋広場になっていて走ることだってできます。広場の周りは絵に描いたようなヨーロッパ風景で固められ、ここはまさに「来るべきところ」になっているわけです。

es06

es07

 

このマルクト広場の一角に観光案内所があり、係りの人とは英語で意思疎通ができます。ここでも私は実感しましたけど、ドイツ人の話す英語は聞き取り易い!単語の発音が日本人と似ていてアイウエオがはっきりしていて、私の話すヘタな英語もよく意味を拾ってくれました。

es08

 

この案内所では無料の地図もありましたが、0.5ユーロ?ぐらいだったと思うけど、もっと便利な地図を買いました。

es09

 

これを使ってマルクト広場から見える丘の上の妙な形の塔がある場所まで行ってみたかっらからです。

念のため「あの丘の上の建物は何? 歩いてどのぐらいかかるの?」と聞いてみたら、あれは「市の壁で10分ぐらいで着けると」言っていたので、迷わずそこへ向かいました。

es10

 

マルクト広場にはこんなレストランだか、きっと日本で言ったら居酒屋のような店が午前中からオープンしていて、ビール飲んでいる人もいましたので、市の壁に行くのをやめてここでビール飲んで帰ろうかとも思いましたが、やっぱり市の壁の方を選びました。

es11

 

この居酒屋を超えて、高架になっている道路の下をくぐり、階段を上ると狭い坂道になっていました。

es12

 

市の壁へののぼり階段が、その狭い道に建つ素敵な建物と建物に挟まれて、こんなふうに素敵に入り口を開けていました。奈良の長谷寺の階段っていう感じです。

es13

 

階段は300段近くあるらしいですが、いちいち数えませんでした。だけどアラフィフを超えた身には汗かく階段です。階段の横は丘の斜面になっているので、そこからエスリンゲンの街並みがよく見えます。

es14

 

てっぺんには例の妙な塔があります。この塔直前のところで周囲を撮影した動画は以下です。

↓↓↓

丘の上の塔は、やっぱり塔らしいのですが、今はレストランになっているという説があります。

es15

 

この塔のすぐ隣には、やっぱり「ここでランチしたい」と思わせるような雰囲気良さそうなレストランがあり、観光案内所でも「レストランで食事できますよ!」と言っていました。私は歩いて階段を上りましたけど、丘の反対側には道路があって車で来られるようで、レストラン近くには駐車場もありました。

es16

 

ホーエンノイフェン城でも思いましたが、歴史的遺産もこうやって外観をそのままに商用施設として活用したら、その収益でメンテナンスもできるから、文化遺産の建物が残しやすいのではないかと思います。それにドイツでのこうした商用利用のいいところは、外から見ても、それが商用利用されていると見えないところです。下から眺めても、階段の途中から見ても、味わいある古い歴史ある廃墟としか見えません。レストランの看板さえありませんでした。

 

エスリンゲンはシュツットガルトのすぐ傍なのに、落ち着いた雰囲気の街でした。Sバーンですぐシュツットガルトに出られるし、途中の駅にはメルセデスベンツの会社もあります。多分シュツットガルトはこうしたベンツなど会社関係の出張で日本から来るケースが多そうだと思いますが、そういう場合はエスリンゲンにホテルをとったら静かで風景も良くて交通便利で、いいのではないかと思いました。