「今日はどこへ行って来た?」とドイツ人の友人に尋ねられて、ルートヴィヒスブルクとなかなか喋れなくて苦労しました。エスリンゲンは発音し易いけど、ルートヴィヒスブルクは舌を噛みそうになります。
このルートヴィヒスブルクもまた、シュツットガルト駅前で薦められた「行くべきところ」の一か所。ここにはヨーロッパ最大というバロック建築の宮殿があるので日本に帰った後に「ルートヴィヒスブルクに何があるの?」と聞かれたとき、実に説明し易い。“喋り難い地名と説明し易い名所のある街”が、シュツットガルトから「あっ!」と言う間に電車で行けるところにあります。
ルートヴィヒスブルク駅はシュツットガルトからSバーンで15分ぐらいのところにあります。東京駅から品川駅みたいな距離ですが、ここはもうシュツットガルトではありません。
駅前にはネスレの古風な工場があります。このネスレ工場がある側とは反対側に「行くべきところ」があります。
駅の出口はこんなにシンプルな表示で「ここがSバーンに乗るところ」だと一発で分かります。
駅前の道を渡ると古い感じの建物が連なる街道になっていて、レストランやカフェが並んでいましたので、ここでアイスカフェを飲みました。ちなみにドイツのアイスカフェのアイスは氷じゃなくてアイスクリームです。とても甘くて参りました。
この像はフリードリヒ・シラーというドイツの思想家で詩人でもあり劇作家でもあった人です。太宰治の「走れメロス」の元になったひとつがシラーの詩だそう。さらに彼の作品が当時のルートヴィヒスブルク領主の怒りに触れて亡命生活を余儀なくされたらしい。日本でも千利休が豊臣秀吉の怒りに触れて切腹しましたが、文化人とは言え権力者の目にとまると、場所は変われどいい時はいいけど、悪いときは悪いもんです。
この街にも古い建物は珍しくないほどたくさんあります。
みんな石作りの窓枠が白い、煙突がある似たようなフォーマットの建物ですが、ちょっとづつ違って個性的です。反対に日本にはたくさんあるナントカホームの新築住宅みたいな建物は絶無と言っていいぐらい。
この建物は築何年経っているのか分かりませんが、朽ちるわけでもなく今も現役で使われていました。一説によるとドイツでは建築規制が厳しくて建て替えが難しいらしいです。
マクドナルドの建物も、リニューアルされてはいるものの、風景にマッチするような色彩と形になっていました。
ここはルートヴィヒスブルクのマルクトプラッツという、要するに市場のための広場。純粋広場になっています。
クリスマスシーズンはここに出店がいっぱい出るらしいので、寒いのが辛くない人はクリスマスシーズンのドイツがいいかもしれません。
これがヨーロッパ最大だというバロック建築の宮殿、ルートヴィヒスブルク城です。ルートヴィヒスブルク観光ではここを外すことは考えられないでしょう。それほど有名なので、日本に帰ってからの旅行話にふさわしい場所ですから、入場料は高いけど無理してでも入園してみることがいいと思います。
建物に入るには、さらに入園料が要るので、私どもは庭園から宮殿を眺めることにしました。
宮殿の前にはベンチがあり、年配のドイツ人女性が一人座っていました。妻が英語で話しかけると彼女はドイツ語以外は話さないようでしたが、ドイツ語で多分たくさんこの宮殿のことを語ってくれました。でも私どもには分かりませんが、何だか分かったような気がするから不思議です。
入場料が高いのは、こんなに庭がよく手入れされているからです。
宮殿から出るとまっすぐに南へ伸びる遊歩道があるので、それを歩いて行くと煉瓦作りの、でもモダンなホテルの建物が目入りました。レストランも併設されていて四つ星マークもありましたから、最後の贅沢と思ってランチをここでとることに。
庭園の屋外テーブル席に座り、バイキングでランチをすることにしました。
バイキングにした理由は、一品はきっと高くて量も多いだろうから・・・、という理由でしたが、実際はどうもバイキングの方が高かったみたいです。日本ではまずランチにこんな高額は出さないだろう!と思えるような額に、さらにチップを載せて、かっこつけて食事を終えました。
ちなみに味は、まあまあです。後でドイツ人の友人に話したら「ドイツのレストランでは金額と味は比例しない」と言われました。
ランチが終わり、駅まで歩く途中の建物に落書きがしてあるのが目に入りました。
ドイツの落書きは日本の比ではありません。鉄道の沿線の橋や壁、それにこんなふうに道路際の建物にいっぱい落書きがあり、書かれても警察を呼んだりあ、慌てて消さないみたいです。そんな中でこの写真の落書きは、眺めていて苦しゅうない落書きに見えました。
落書きの大きさと書く位置にフォームがあるかのように均一に描かれていて、建物との親和性も良く見えます。建物を飾る意識が有ったとは思えませんが、出鱈目で統一感の無い落書きと比べると、かなりマシな、鑑賞に値するかも?と思われる作品かと。