会社を辞めたらやってくる「いっしょにやりませんか?」の悪魔
2017/05/08
相手は決して騙したりウソを言っているわけではないのに、結果的に自分がモヤモヤ気分にさせられることがあります。サラリーマン時代についたある習性が原因で。
会社を辞めて「今日から自由!」
「さあ!何を始めましょうか・・・」と、胸躍らせて起業セミナーやボランティア説明会に初めて出かけてみると、そこには多くの“気の合う(気の合いそうな)仲間”が参加しています。
早速意気投合し、自分のやりたい事を熱っぽく話し始める自分と、相槌を打ちながら熱心にそれを聞いて、思ってもみなかった友情?が芽生える・・・ような気がしていい気分。
そんな夢物語を語らいながら流れた時間が一時間。
やおら、友情が芽生えたかもしれない相手の口から「・・・私と一緒にそれ、やってみませんか!?」
まさに濡れてに泡!
待ってました!とばかりにその提案に乗っかって、早速始めたヤツと二人の共同活動・・・
これ、おそらくその後順調に進む確率は10%程度だと思います。
昨日今日に初めて会った人との共同作業がそんなに上手く行くことは稀です。
ありがちなパターンは・・・
共同活動を始めて1ヵ月後からなにやら相手に違和感を覚え、次第にやる気が失われ、3か月後には「いかにこの活動から手を引くか・・・」に悩むことになる。私の経験ではそうなります。
話を先に進める前に補足説明いたします。
このような“仲間”との出会いは基本「ラッキー!」です。
私はそのような仲間との出会いを否定するつもりは毛頭ありません。相手の方も「誰かと一緒に有意義なことを始めてみたい」と切望している善人であることが大半でしょう。
されど、人は皆個性を持ち合わせていますから、人の性格によっては相手が主になり自分が図らずも“従”に成り下がるリスクを抱えています。
会社を辞めた直後は誰もが人恋しくなり、手を差し伸べてくれた仲間にすがりたい気持ちを抱くのは自然なことで、場合によりそれが成功の一端となるでしょう。
しかし大事な自分の時間を浪費し「骨折り損のくたびれ儲け」になることはかなり確率が高く、もしかしたら最悪、騙される、あるいはいいように利用されて捨てられる可能性だってありますから注意したいものです。
この「注意」とは具体的にこうします!
1.相手を良く見て「この先の姿」を予想する
相手が優しく「一緒にやりませんか」と言ってもそれは何の契約に基づくものでもありません。共同活動を始めると相手が積極的な性格であれば、必ず相手が仕切りたがるでしょう。反対に相手が内気なら、しきりと「私を楽しませて」をせがまれるようになるかもしれません。これが極端な人とは絶対良い関係を築けないと思います。相手の話し方を聞きながら「この先共同活動を開始したとしたら、どうなりそうか?」想像力をたくましくして予想してみることがいいと思います。つまり最初の出会いから何回目かまでは「面接期間」です。
2.相手といきなり全面共同しない
では共同活動を開始するとして、どうするか?
今まで会社勤めの悪いクセで「肩組み合って何でもやろう!」精神ではまず失敗します。相手はまだどんな能力や期待があるのか見極めがついていないから、ここで張り切ると相手の思うツボに落ちる危険性が高いです。最初は単発の小さいことで、その日にすべて終わってしまうようなことから始めてみることがいいです。例えば「一緒に山歩きしましょう」の仲間であればいきなり泊りがけの遠征などせず、馴染みの低山日帰りハイクからするようにしましょう。もし相手と山歩き中に喧嘩別れしたら、遠征旅行ならその悲劇は想像に難くないはずです。なので面接合格の次は「試用期間」であるべきです。
3.お金の絡むことなら契約書をつくる
これは共同事業をする場合です。
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共同事業は若干でも自分のお金もしくは労力を提供するから慎重でなくてはいけません。共同事業は相手の“野望”もあります。自分も欲望を持って参加するわけです。野望と欲望がたとえ穏やかであっても、笑いながらでも、水面下ではぶつかり合っています。開始当初はお互いに遠慮もあるから見かけ上うまく進みますが、開始半年後あたりから欲が前に出てきます。相手はアレもやって欲しい、コレもお願いしたい、と必ず言い出すでしょう。自分はそんな事まで引き受けた覚えはない、と言っても相手は引き下がらないかもしれません。「たった二人でやっているんだから、やれることは何でも協力し合わないとうまく行くものもうまく行かないだろう」などと最後は浪花節になるのがよくある定番。
このようにして楽しいハズの共同事業が泥沼化するのです。
そうならないように、協力範囲を紙に書いておくことをお薦めします。もし相手が「なんや!水臭い・・・」と言ったら。その共同事業をやらないことをお薦めします。
4.エスケープルートを作っておく
逃げ場を最初から作っておきましょう。会社を辞めた“リタイア貴族”は多分還暦が目の前をウロウロする年代でしょうから“老い先短い”です。だから残された時間はお金以上に貴重であり、会社と違って「やらなくても困らないこと」に手を伸ばすには「自分がそれで本当に楽しいか?」をよく考えるべきで、もしやり始めてから「こんなハズじゃなかった」と気づいたら、すぐ脱走できるように準備しておくことを薦めます。
私はやりたくない事をやらない「言い訳」として、今まで「親のお世話」を理由にしてきました。
「大庭さん、これを今月末までにやって欲しいんですけど・・・」と言われたら・・・
面白そうなことなら「はい!よろこんで」と返事しますが、
「また言ってきやがった・・・」ということなら、
「ダメです。できません。私には介護する親がいるので、そのような期限が決まったことは約束できません」と断っていました。ただその“親の力”も昨年になくなってしまったから、今年から「何を理由にしよう・・・」状態です。
5.「ひとり活動」をいつも頭に置きながら
一から十までひとりでいることはありませんが「ひとり活動」は利点がいっぱいあります。
・「独り」は、思い立ったらすぐに始められるからスピーディーで能率がいいです。
・相手に相談して意見合わせをしなくて済みますから「自分の思いどおり」ができます。
・全部自分の判断でできるからうまくいっても失敗しても納得いきます。
・「やらされ感」がありません。だから会社を離れた自由な雰囲気が存分味わえます。
実際には「誰かと一緒に」と「ひとりで」のバランスミックスが大事ということになるでしょう。しかしどういった配合がベストかは、人によってバラバラです。ただ「いつも四六時中一緒」のシチュエーションは家族だけで十分だと思い、むしろひとりでどれだけやれるか、が会社を辞めた自由人の醍醐味です。