リタ研ブログ 大庭夏男の早期退職法

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騙される論法「年金では足りないから働くしかない」

      2017/05/08

今日、とある国営放送を観ていたら、働く年金生活者の抱える問題について語られていました。

その番組の冒頭で、
今の年金生活者は、年金だけで暮らすことは難しく、平均で月6万円の不足が生じています。だから貯金が減ってしまうので、再就職して働かざるを得ないんですね。
こんなような事が司会者の口から語られれいました。

テレビの話はその後、シニア再就職者は研修も受けさせてもらえずにすぐ現場に出されるとか、作業中に階段から落ちるとか、シニア再就職者の困難な実態を例に出し、みんなで考える・・・みたいに進んで行ってしまいましたが、どうして?

月6万円の「赤字」を託せる預貯金を持っていないなら、仕方なく再就職して稼ぐ選択肢を取るのも方法だけれども、番組の司会者は確かに「貯金が減ってしまいますから」と言っていました。これは「貯金はあるけど、減るから、働いて稼ぐしかない」と聞こえます。この論法は「再就職して働く」という結論を急ぎ過ぎ。

どうして生活費のために貯金が減ることが、無理して再就職しなければならない決定的理由になるのでしょうか?

貯金で月6万円の赤字が補てんできたら、それで済む人も少なくないのではないでしょう。そういう人は「年金で暮らせない」即「再就職しなければ」的な単純発想に陥らなくても、実はやり方によっては働かなくても大丈夫ですよ、と別な選択肢を示した後で「それでも再就職したい人はこんな事に注意する必要がありますね」とするのが自然な話の流れじゃないのでしょうか?

60歳から90歳までの30年間生きるとして・・・
その間ずっと月6万円の赤字が単純に続くとしたら、年間72万円。30年間合計では2160万円の貯金が要る計算です。
60歳直前まで貯金がほとんど無い人がいきなり2160万円貯めるのは困難かもですが、定年退職金はそこそこ大金が出ますから、それを受け取れば2160万円の貯金はそうハードルが高くはありません。

40歳過ぎたぐらいでこの事に気がつき、
定年退職金額を調べ、
年金受取額もねんきん事務所に行って尋ねて調べ、
ふだんの家計簿から「ウチの場合の生活費」を調べ・・・がいいけど家計簿つけていなかったら「月6万円足りない」をとりあえず鵜呑みにすることにして、
「年金はこれだけなのかぁ、退職金はこれだけ見込めるから・・・」とお金に想いをはせ、
そこから2160万円以上定年までに貯金する算段をすることは、定年後に再就職する困難さと比べてら、まだ簡単で危険も少ないと思います。

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また、
幸運にも60歳過ぎて「貯金が2160万円以上貯まってた!」の人は、「働くことは楽しい」と思えなければ再就職する意義が無いでしょう。
「他に居場所が無いから再就職先に安らぎを求めたい」という本音をカモフラージュするために建前「働かにゃ食っていけへん」を声高に言うのは筋違い。
それでも「貯金が減るから・・・」と言う人には、番組で「貯金があるなら、それを上手く使って徐々に減らしながら暮らせばいいのですよ」と諭してあげたらいいのに・・・。

私は、貯まったお金を上手に使って減らせる技を身に着ければ、
それで老後問題は半分解決できると、真剣にそう考えています。

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