リタイア後活動に活きる専門性の例「水難救助を教える先生」
2017/05/08
会社を辞めてリタイア後に何をしたらいいか?今日紹介する人物は子ども相手に水難救助の方法を教える先生。
彼は70歳代、かつては河川を扱うコンサルタントでした。治水や堤防、ダムなどが専門の稼業でしたが激務のためか健康を害して定年前に止むなく退職。その退職後に彼が選択したことは、川の掃除と水難救助方法を教える教室開催。
以前の河川土木技術をそのまんまリタイア後に活かすのではなく、仕事のついでに得られたノウハウを使って一般の人と一緒に川に関わることをやろうと彼は考えたのでした。
長年仕事として扱ってきた川に関するテーマを、専門性は脇に置いておいて誰でもすぐ役立つ掃除と水難救助に的を絞ったということが彼のリタイア後戦略なのだと思います。
この日は子ども相手に水難救助の方法を教える場面に、偶然それを主催するNPO団体が一緒だった縁で私がその取材をしました。彼は「自分は水難救助の方法を教えられますよ」と関係NPOや地域の会にPRして回って、お呼びがかかれば現場へ道具を持って出かけ、説明と実際にやって見せる活動をしています。
下の写真は子どもにライフジャケットの着方を教えた後、川遊びする際の靴や服装のことを教えている様子。裸足ではなくてウォーターシューズを履いて、気温が低い日にはウェットスーツを着ることなどを薦めていました。
次には実際に浅い川に入ってライフジャケットを着て、川を流される練習。
上を向いて脚を前にして流れ、障害物が迫ったら脚でそいつを蹴飛ばして避けることを教えました。
その次に、投げ込まれた救助ロープの掴み方の練習。
今年の彼の体調は芳しくないので彼自身は水に入りませんでしたが、昨年までは自分で川に流れて救助ロープはこうして掴んで、こうやって・・・と見せながら説明していました。
彼がこの水難救助教室で満足することは、きっと社会貢献だからという事実はあると思います。
その他に、現役時代にずっとかかわってきた河川にリタイア後もかかわり方をやや変えて引き続きかかわっていることができる、という「連続性」も満足する理由になっているのではないでしょうか。
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もし現役時代に嫌々ながら仕事していたとしたら、リタイアを機会にその「嫌々仕事」とは縁を切ったらいいのですが、もともと好きで飛び込んだ仕事だったら、できることならリタイアしてもかかわっていたいと思うでしょう。
でも現役時代と同じことをしてかかわらなくてもいいかもしれません。
扱う対象が「河川」という同じもので、だけど堤防設計じゃなくて、子どもが安全に川遊びできる方法を教える、と内容をチェンジしてかかわることができる。リタイアしてやっている彼の行いは、そのようなサジェスチョンがあります。