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「建築業をやめて、建築互助会を作りたい」知人の例

      2017/05/08

私が「趣味と仕事の中間部分」ではなかろうか?と思っている実例は以下です。

その男性は主に建物の改装設計や施工管理を生業としている。まだ60歳にはなっていない個人経営者の男性です。建得意分野は内装をいかに創造するかというクリエーターの腕が要求される分野。

その彼の仕事の不満は、結局「いくらまでお金をかけるのか」という金額の決着に終始してしまい、客はお金を払って出来上がったモノを受け取るだけで終わり、その作品に愛着は持てもらえない、ということのようです。なので、もし客も製作に加わるような設計・施工のやり方にできたら、きっと客は完成した作品に愛着を持ってもらえるだろう、という発想で「建築互助会」みたいなものを立ち上げ始めました。

知られていないビジネススタイルってあるのか?

はたして彼がやろうとしていることは、リタイアなのか?ビジネスの変更に過ぎないのか?それとも、両方に入らない新しいものなのか?この例を分解して考えてみたいと思います。

1.専門性はそのまんま継続することになる
彼の専門の「建築」はなにも変わりません。今までは客に要求を聞いて設計し施工し、引き渡すという客と施工側に分かれたものを、客のもの作りを建築専門家の立場で助けるということに変わるだけで、専門性はそのまま生きています。

2.ただし今までスタイルの注文は断ることになる
客の多くは「作ってくれ」という客ですから、「俺が作るのを手伝ってくれ」という発想は普通の客にはあまり無いはず。だから普通の客からの仕事依頼は「もうそういう商売はしないからできません」と断らなければなりません。

3.収入はしばらくの間は激減するだろう
客へ「あなたも製作に加わわり、あなた主体でつくるというスタイルで一緒にやりましょう」こう説明して「分かった!それでやろう」と言ってくれる客を新たに開拓しなければなりません。これには時間がかかります。新しい発想の客が現れるまでは収入がありません。

4.不満を抱えながら仕事をすることからは解放されるだろう
しかしまさにこの方法が彼の長年の仕事に対する不満を解決させる決定打になるはずなのです。もし利益追求のビジネスとして考えたら、こんなやり方は成立しません。なので「これはもはや営利目的ではない」という新しい発想を持たなければできません。

5.彼は「自分の仕事の不満」は何であるか、よく知っていた
これが彼の決定的な利点ではないかと思いました。「今の仕事は嫌いだ」と全部を嫌いと包めてしまうのでなく、仕事を要素に分解して不満の原因を分析しているという点がそれです。もし彼が仕事全体を包めて嫌いだと考えたら、私のようにアーリーリタイアする道を選択したと思います。

この実例の要点は「建築物をお客に提供する」という目的は変わらず、だけど「収入を得る」目的は「愛着される作品を残す」という別の目的に変更させる、一種の業務改革です。この改革後の姿は、はたしてビジネスなのか趣味なのか? どちらにしても仕事したらそれに見合う代金は客からいただくというのは変わりませんから、そういう意味では慈善事業ではありません。やった分はお金になるのです。

これを私がやっている「セミリタイア」と比較すると・・・

まず「収入は減る」ことはまず間違いから、たとえ収入ゼロでも今後の生活に困らないだけの生活資金は確保しておく必要がある点は同じです。

ただ「客と一緒にもの作りする」仕事見合いの代金を受け取るところが私のセミリタイアよりビジネス的です。だからこのスタイルはリタイアメントに入らないでしょう。

「今までの仕事の不満を解決する」ことは私も彼も同じです。私はサラリーマンスタイルを捨ててしまいました。彼の場合は従来型の多分収入効率の良い受注スタイルを捨ててしまうことになると思います。それでもいい!としたところは私も彼も同様だと思います。

「自分のための事業」という考え方が有りそうだ

上述のように考えてみると、お金をいただくビジネスだけれども「自分が満足できること」に特化して、あえて収入を追わないビジネススタイルという分野が有りそうです。私の場合はブログを書いて広告を貼って、その広告収入をいただく式の「アフィリエイトプログラム」が収入になっていますが、ブログ自体は無料で配信していますから、仕事と収入は直接つながっていません。

私の今までの考えでは、仕事自体は無料奉仕して、収入はその仕事の派生でいただこうと考えていました。この理由は、仕事を直接引き換えの代金をいただくと、必ず主従関係が生じてしまい、それが私のやりたい事を阻害するだろうから、というものでした。

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しかし上述の建築業の彼の場合は、「客と一緒にもの作りする」という仕事をした直接の代金を受け取ったとしても、状況から考えて主従関係が生じることは無さそうに思います。そうするとビジネスのやり方をそんな具合に「改革」すればリタイアすることなく、自分のやりたかったことが実現できるのかもしれません。さらにリタイアせずにビジネスを続けるということは、趣味の場合の「飽きてしまう」というリスクがまずありません。

まだ彼のやり始めた新しい仕事スタイルは定着したわけではないので、はたしてその「客と一緒にもの作り」ビジネスがうまく離陸するかどうか、機会があれば私も互助会の手足になって首を突っ込みながら観察を続けたいと思います。

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