リタ研ブログ 大庭夏男の早期退職法

リタイアメントの生活改善研究ブログ

ドイツ人起業家ML氏の週7日ビジネス

      2017/05/08

5月末からドイツのシュツットガルトに旅行しました。その旅行の目的は妻をドイツ観光に連れて行くことが大きな目的でしたが、もうひとつ・・・

ドイツのシュツットガルトに旅行は私の友人ML氏と会ってディスカッションすることも秘めた私の願望でもありました。ML氏はかつて日本に数年間滞在し、その間には私の直属上司だった男で、その後彼は会社を離れてドイツで起業しました。一方の私は日本でブロガーとしてあまり多くない収入を得るセミリタイアメント(Semi-Retirement)になったわけです。私にとっての彼は、元上司だけれど今は仕事上の直接の関係はなく、部下と上司の関係も無くなったので友人と言っていいのだと思います。

ML氏は会社を離れた後、自宅をオフィスにして起業しました。現在はNLP(神経言語学的プログラミング)という手法を用いたコーチングビジネスの仕事に取り組んでいます。
http://www.memecon.com/

下の写真は彼の自宅兼オフィスで、ずらりと壁いっぱいに並んだ専門書が、彼がいかに努力家であることが分かっていただけると思います。

ml0406

彼は私より一歳年上で、私より少し早く会社から離れましたが、会社から離れて新しい活動を始めたという点では私と似ているところがあります。なので今回のドイツ旅行の機会に彼がどのような考えでビジネスに取り組んでいるのか、また私の「セミリタイア」を彼に説明するとどのような意見が帰ってくるのか、とても興味があったので彼の家に尋ねて行き、長い話をしてまいりました。話は私の個人的な興味が大半で、一緒に聞いていた妻は何が楽しいのかまったく分からないと言っていましたが、定年退職にしろアーリーリタイアにしろ会社を辞めた後の生活に参考になるかと思うので、そのときの印象に残ったことをいくつか書いておこうと思います。

まず、彼 ML氏と私 大庭夏男が退職後に始めたことの共通点は・・・

好きなことをして活動している

私はブログコンテンツ、彼はコーチング手法の開発と営業という内容の違いはあるものの、私も彼も自分独りでアイデアを練って創作物を制作している、という点で大枠では似ています。好きなことをやっているので彼も私も週に7日それに取り組んでも少しも疲れないし嫌にもならず、マイペースですが制作に取り組んでいる時間は生活の殆どを注ぎ込んでいて平気だという状況なのです。

私は好きなことをやるために「好きなことを、好きなときに、好きなようにやる」という行動指針を持っている、と彼に行ったら、彼もだいたい同じだと言っていました。私はそれを実現するには一人でやるしか無い、と考えていますが、彼も起業から今までの数年間は一人で仕事をやっています。ただ彼はビジネスとしてやっているので一人にこだわっているわけではなさそうです。ビジネスパートナーが現れることはウェルカムなのだけど、現在までのところ彼のビジネスもそう引き合いが多いわけではないので、今のところは一人で奮闘しているという状態のようです。

一方、違うところは・・・

私はセミリタイアメントとして「収入は副次的なもの」としていますが、ML氏は真向から収入を得ることを目的にしています

この話題について滞在中に私は彼とかなりの時間をかけて話をしましたが、おかげで妻は話に入れずにとても不満で後で機嫌が悪くなってしまいました。

ML氏のやっているビジネスは、企業にコミュニケーションのコーチングを売り込み、実際にコーチングしてお金を稼ぐという、誰にもビジネスだと分かることですから、そういう意味で一般的なのですが、私の“セミリタイア”という概念を彼に理解してもらうのに時間がかかりました。

いろいろ説明した結果「生活全般のためのお金ではなくて、贅沢費に使うための追加的なお金を稼ぐことだけを目的にしているビジネスなのね」と近いところまでは理解してくれました。

さらに私は「そういうことなので、将来的には年に100万円を稼ぐことを、目標ではなくて“願望”だ」と説明したら、これは彼にはまったく理解されませんでした。

「なぜ100万円稼ぐことが願望でしかないのか? 願望というものは頭の中で考えているだけのもので行動を伴っていないものが願望だ、おまえの場合は追加的なお金とは言え、行動を伴っているのだから願望ではなくて、それは目標にすべきだ」と何度も言うのです。

私は「年間100万円稼ぐというのは、それが達成できなくても生活に何も困ることが無いし、目標にしたらきっとその達成に向けて視野が狭くなり、他の興味に手を出し難い状況になるから願望のままでいいのだ」と言い返しましたが「そんな考え方は馬鹿げている」と彼は言い、まったく話は平行線のまま。

「お前はいったい何がしたい」という彼の問いに私は「子育てが済んで生活のためのお金にも心配がなくなったので、健康でいられる最後の時期に自由なことをしたいのだ」と言ったら「俺もそうだ。だから好きなビジネスをしているのだ」「でも俺のはちゃんと目標がある。目標を持つことと自由にできるかできないかは関係が無い」というような話の展開になり、それ以上私は目的ではなく願望が適切だと切り返す理屈が見つからなくなってしまいました。

もし私のやっていることに年100万円稼ぐ!と目標を設けたら、私とML氏のやっていることは内容に違いがあるだけで、共に「早期に会社を辞めて自分でビジネスを始めた者」となるでしょう。

もしかしたら日本とドイツの慣習の違いが彼が私の言うことを理解できない理由かもしれない、そういう気もきてきました。

日本では会社員はまさしく「会社人生」で、会社員は会社を辞めることがリタイアを意味しているように私には思えます。会社を辞めて贅沢に使うお金や自分のお小遣いだけを稼ぐようなことを始めた場合、それはリタイア後の「趣味の範囲」でるような印象が強くあります。なので私はそういう稼ぎ方はセミリタイアと書いて、お金目的のビジネスとは一線を画したいと、これまで考えてきました。

ところがドイツにはBerufung(ベルーフン)という言葉があって、自分はそれをやっているのだ、と彼は言い始めました。このドイツ語の言葉は日本語で「天職」と訳されるわけです。つまり会社を辞めて残りの人生で起業しようとする場合は「天職をビジネスにすればいいのだ。でもビジネスなのだから目標は有ってしかるべき」ということのようなのです。

ここで私は、会社を辞めてから「天職探しの時代はもう終わった」と暗に思い込んでいたことに気が付きました。天職は探したり偶然見つかるものだけでなく、自分で作ることが可能なものだ、ということかもしれないです。

SponsoredLink

私もML氏も週に7日間、毎日毎日、来る日も来る日も飽きずに嫌にもならずに続けられることを持っていますから、それはビジネスだと考えたら、天職が作られていたのだ、ということで一致することになります。

そう考えると今まで考えたことが無かったアイデアが浮かびました。会社を辞めて「天職を作る」「天職を自分で作るにはどうしたら可能か」

このテーマを掘り下げてみたいと思います。

<次回へ続く>

 - 天職を自分で作る ,